演題



自分を嫌い続けた
自分を否定し続けた
だからなのかな?


いつしか
自分の周りに
人はいなくなった


枯れ果てた瞳
掻き毟った喉元
動かすのも億劫な体


いつしか
自分は一人で
真っ暗な舞台にいた


閉ざされた扉
暗くうごめく客席
でも物音一つしない


“誰か・・・誰か・・・”
舞台上でさまよう私
嘲笑の嵐が吹いた


見えにくい目を
しゃがれた声を
壊れかけた身体を


必死に働かし
暗い舞台を
人を求めさまよった


やまない笑い
冷たい目線
真っ暗な気配


気付けば
劇場は
満杯だった


人を求める私
私を見る観客たち


舞台から落ちることを期待して
今日も観客は来る


もっと、滑稽に。と


演題は“みにくい私”