キレイゴト



「傷つくことが成長につながる」
「その傷は時間が治してくれる」


誰かが言ったキレイゴト


傷つくことが重なって
私の心は回復能力を失った


「時間」も「私」も信用できない
その先に進めないでいる


グルグルと思考を回して
ズキズキする傷を抉る


出口のない迷路の中
私は独りで彷徨い続ける


そこには目指す光もない
ただ冷たい闇だけが存在した


歩きつかれた私に
闇が優しく眠りを誘う


床に丸くなって意識を落とす


冷たくて優しい闇が
私を抱きしめて放さない


「ここに居てもいいよ」
「成長なんてしなくていい」


闇が私に居場所を与えてくれた


外界の「私」がキレイゴトにさらされて
傷を増やして私に言う


「私と変わろう」


「私」は安寧を求めた