肩を張って  胸を張って
顔を上げて  足を進める

たったそれだけのことが
とてもとても難しかった

身体の力はすべて奪われ
いつでも倒れる事の出来る状態だった


でも


そんなことは出来なかった

そんなことをすれば
自分はもう二度と立ち上がれないと
確信していたから


だから


力を必要以上に張って
崩れそうな身体に鞭を打った

そうやって進んでいた


ただ、ただ、
自分の力だけを見ていた

だから、
私は自分の本当の
心が、キモチが、
分からなくなってしまった


好きも嫌いも全部


悲しみも苦しみも忘れて


涙は枯れて、笑顔を失って


この世にふさわしくない生き物になった



「感情が無いなんて、人形じゃない。」



誰かがそういった。




だったら・・・

        消えてしまおう


何もない白い世界へ、

        行ってしまおう


いざ・・・



そう思った
そう行動しようと


でも、


怖くなった
涙が出た


まだ、ここにいたい
まだ、人でいたい
まだ、生きていたい


溢れた感情たちは
私を元に戻してくれた


“嬉しい”


その感情も
私の中へと帰ってきた。



だから、



私はまだ、この世界で生きている。



もう一度手に入れた
大切な人とともに・・・