ループ



目の前の人間が大っ嫌いだった

大人だと権力を振りかざして
子供だからと自由を奪われた

空はまぶしいほどに晴れ渡るのに
僕の窓にはいつも厚いカーテンが引かれていた

僕は何もしていないのに
そこに居たというだけで罪とされた

わけが解らないまま
罰を与えられ
言葉で苦しめられた


目の前の人間が大っ嫌いだった

だから僕はそんな人間に
なりたくないと強く願った

これまで神様に見捨てられてきたけれど
この願いだけはどうしても叶えてほしかった

来る日も来る日も
僕は目の前の人間から
目をそらして

どうにかして似ないように
どうにかして逃れられるように
模索していた


だけど僕は今同じことをしている


大っ嫌いだと罵った人間と
まったく同じことを

カーテンはさらに分厚くなっていて
まっさらな空を覆いつくしていた

目の前に冷たい目をした幼い僕が居て

ああ、あの人間は僕だったんだと
悲しくも気付いてしまった