“失敗作”



“失敗作”
オトナタチは僕の事をそういった


罵声と怒声が響く白い部屋


のろのろと動く僕を
後ろからナイフが狙う


止ろうものなら
容赦なくそれは振り下ろされる


愛情がたまらなく欲しかった
優しさが恋しかった


今が、ただ、過ぎ去ってしまって欲しかった


望むことは許されない
たった二つの願い事


愛して欲しかった
僕の頭を撫でて欲しかった


手を差し出そうものなら
きつくその手を払い落とされた


ただ、ひどく涙がこぼれた


僕は、立ち止まる


“失敗作”
ナイフを受ける僕を見て


オトナタチは口をそろえた