醜い争い



闇の中に私たちは二人で取り残されていた


寄り添いあい
互いの体温を糧に生きていた


互いが互いを
必死に必要としていた


―なのに…


不意に与えられた光によって私たちは変わった


光の幅はたった一人分
気まぐれにゆれる


私たちは
互いを敵だとした


毎日繰り返す言葉のナイフ


相手の心を踏みにじって
相手の心を切り裂いて


立ち上がることの出来ないように
陥れる


自分が汚れていこうが
光のためには構わなかった


―気付けば…


相手は
生きる屍となって視線をさまよわせていた


もう立ち上がらない
もう刃向かってこない


これで、光は私のもの


私は嬉々として
光の元に向かった


―与えられるものを期待しながら…


私は今、光の中に居る


目の前には
闇に取り残したもう一人の私


動かないその体が、口が


ひどく悲しくなった


期待していないのに、ただ、涙が出た。