空を見つめる君の姿

瞳はとても悲しんでいて
今にも消えてしまいそうだった

ふと、こちらに気付いた君は
悲しみに満ちた瞳を
僕のほうにじっと向けた

まるで
自分の存在を確かめているような

そんな必死な様子さえ
君の瞳から伺えた



“寂しいのかい?”



なんとなくその言葉が口から出た

ゆっくりと、君は首を振った



でも
悲しみはそこにあると
僕には分かっていた

近づく僕を恐れるように
君は後ずさっていく

少しだけ口を動かして



“来ないで・・・。”



消え入りそうな声でそういった



“辛いんだろう?”



僕のその言葉に
君は何も返さなかった



“大丈夫。君はここにいるよ。”



動かない君を
僕はそっと腕の中へと導いた

そう、たぶん
ここにあるだろう


僕の腕の中で・・・



“僕もここにいるよ。”



君は
僕の中で
静かに泣いていた


見上げた空は、朱に染まっていた。