追放



君はこのままでは壊れていってしまうから
僕の元から追放してあげよう

僕の想いは重すぎた
僕の考えは重すぎた
僕の声すら重すぎた

闇ばかり見て光を見ようとしない僕に
君はどんどん侵されていっている

君の沈んだ笑顔を僕はもう見たくない
君の無機質な瞳を僕はもう見たくない
君の心のこもっていない想いを聞きたくない

今、君は僕の罪を映す鏡でしかなくて
僕はそんな君を目の前においておきたくない

触れる君の手が冷たくて
触れる君の唇はなにも語らなくて

僕にはどうやっても救ってあげることが出来ないから
君は僕の元から追放されるべきなんだ

悲しみに満ちた僕の心を
君は受け入れたつもりでいた
でも、本当はできていなかったんだよ

君は君自身を責めるべきじゃないし
僕は光を見るつもりは無い

心の中を知りすぎた僕たちは
もう、一緒にいられないんだよ

隣にいる君の表情が無邪気になるように
隣にいる君の瞳が輝きだすように
隣にいる君の想いが他の人に向けられるように

僕はもう一度君を傷つけて
その背中を押してあげよう

だから、僕を哀れまないで
僕は君を捨てたひどい人間だから

触れる君の手が暖かく何かを包んであげられるよう
触れる君の唇が弾んで踊りだすように

僕は君を追放してあげよう