約束という拘束



“生きなさい”
そう私に言った君

“100歳まで共に”
私の小指と君のが絡まる

約束
その甘い言葉に隠された
拘束


初めのうちは
嬉しくて、くすぐったかった

“私は生きていていいんだ”
自分が少し得意になった

心地よい日が過ぎていく
君は私に寄り添っていてくれた

君の体温が優しくて
私はただ居ることを許されていた


“夢はある?”
君は私に唐突に聞いた

首を振る私に
自分の夢を聞かせる君

目を輝かせる君を見て
私は心の中で気がついた


君はもう私を必要としていないということに


君がどんどん離れていく
私の不安はどんどん大きくなった

寂しさに意地になって
私も離れていこうとしたけれど

“共に”
そう約束した言葉が離れなかった

君を失ってまで
生きている意味などないのに

君が生きていても
私はここにいることを許されなくなったのに

甘く甘美に感じた約束が
私を放すまいと
地面から拘束の鎖を伸ばした


“共に”
その言葉はもう意味をなくしていた
ただ、私の心に身体に
君の声が響いている


“100歳まで生きなさい”