自転車



春の終わり、君とのやり取りも一時休戦

緑の戻った公園で
空に羽を跳ねさせる

水溜りの残るブランコの下
君と僕の書き残し

ぬかるみに足を取られて、倒れる君に
僕は間に合わなくて

書き足されていく、君と僕の正の字

マッチポイントはまだ遠い
羽は円を書き続ける

僕と君の声がこだまする所
心から笑う君が嬉しかった

ぬかるみに足を取られて、倒れた君に
僕はそっと手を伸ばす

黒のラケットを背負って、君をのせて進める自転車

君の名前の横に僕が居て
その横をタイヤのあとが残った

息抜きにまたやろう、そう約束して公園を後にする

君に逢うのは、また少し先のこと

それまでのエネルギー
君を抱きしめての充電

黒のラケット背負って、君をおいて僕はまた進む