私の夢の中で
君はいつも死んでゆく

光を返さない瞳で
助けられるんだと呟いて
大人の私に聞く
君の名前は何だっけ?

私はあのころのまま
何も答えられずに
それを見守っていた

「ここでさえ泣かなければ」

それをスローガンにして
私は必死に耐えていた

そのときに
すべての悲しみを押し込めた

君が消え去ってしまっても
私は泣かなかった
吐き出すことが出来なかった

それが私の一生分の悲しみになった
周りは涙に明け暮れた

私はあのころのまま
何も出来ずに
それを見守っていた

変わりに両の掌から少し血が出てきた

涙は出なかった
何も考えられなかった
ただ君を目の前に
私は立っていた

もう会えないと分かっていても
自然と口が呼んでいた
君の名を

いつかの私の夢の中
君は私の目の前で
泣いていた

「ごめん、知っていたよ。」

そういって
私の頭を撫でながら
ずっと呼んでいた
私の名を