絵の具の夢
青草茂る小高い丘に
絵の具で描いた夢があった
両手を広げ
坂を駆け下り
「いつか飛べる」
そう、信じてやまなかった
僕はいつも置いてけぼりで
鳥はすばやく空へと舞った
いつしか両手を下ろし
丘のてっぺんで足を止め
「もう、無理だ。」
そう言って、木により添った
それをやめることは
特別悲しくなかった
ただ、苦しかった
毎朝、同じ丘に登る
スケッチブックを持って
丘と木と空と鳥
僕はずっと描いていた
時々飛ぶことの出来た自分を付け足して
時が経ち
木には忘れ去られたスケッチブック
雨にぬれて
夢が流れていた