Sin
金網を隔てたその向こう側
君はじっと僕を見つめていた
ヘリのプロペラ音
人々の走る音、影
目まぐるしく時は進んでいた
でも
君と僕の間は時が止まったかのようだった
人々の怒声、罵声、悲鳴
悲しみに打たれる鞭の音
君の瞳がかすかに揺れていた
だから
君を金網の外に出してあげた
君の不思議そうな顔
そして悲しみの顔
「もう、私の番?」
その問いの意味を僕は分かっていた
だから
静かに首を振った
君は自由になったんだ
君は殺されたりしない
なぜだか、君のためなら命を懸けてもいいように思った
だから
「ここから、出よう。」
ゆっくりと君と手を重ねて歩く
ここは冤罪の囚人収容所